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最終更新日:平成24年5月6日

広げたい「花街」の魅力

 先月下旬、「新潟の花街(かがい)古町芸妓物語」(新潟日報事業社)をまとめられた藤村誠さんとお話をする機会がありました。藤村さんによれば、新潟は江戸時代から繁華の湊として有名で、特に芸妓の質の高さは全国に知られていました。

 質の高さを形づくった一つに踊りの宗家の存在があります。かつての新潟では市山と市川の2つの流派が盛んでした。特に市山流は今も宗家が新潟で踊りの伝統を受け継いでいます。

 地方都市で日本舞踊の宗家があるのは新潟だけとのことです。

 藤村さんは「新潟芸妓は容姿端麗だけでは務まらない。芸事がしっかりしていて、その上に品がなければダメなんです」と解説してくれました。

 昭和30年代までは200人を超えていた芸妓さんが40年代に入ると急速に減りだします。43年以降は将来芸妓となる「振袖さん」の成り手が途絶え、先細りが決定的になります。

 「新潟から芸妓文化がなくなる」との危機感が経済界に芽生え、振袖さんを社員として養成する「柳都振興株式会社」が62年に設立されます。新潟の知恵は浅草や酒田に伝わり、全国の芸妓文化を支えています。

 しかし、10年ほど前まで芸妓文化は「特定のおカネ持ちが楽しむもの」と見られ、市民への広がりに欠けていた気がします。それがここ数年で大きく変わってきました。

 1つは芸妓さんの踊りやお座敷が女性から支持され始めました。中央区役所が「柳都文化を幅広く知ってもらおう」と始めた「料亭の味と芸妓の舞」は好評で、昨年度の参加者1239人の大半が女性や家族連れです。

 もう1つ花街そのものに注目する動きも出てきました。新潟大学で都市計画を教えている岡ア篤行先生らが中心となり、専門的な研究を進めていただきました。その結果、新潟の花街は全国的にも価値があることが分かってきました。「新潟花街の町並みや小路を大切にし、新潟の誇りにしていこう」との運動が盛り上がってきました。

 芸妓文化や、その舞台となってきた花街は一度失われてしまえば、再生はほとんど不可能です。江戸時代から伝わってきた歴史と伝統に現代の知恵を入れて後世に伝えていきたいものです。




市報にいがた2358号(平成24年5月6日発行)掲載

新潟市長  篠田 昭


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